大判例

20世紀の現憲法下の裁判例を掲載しています。

最高裁判所第一小法廷 昭和42(し)56 決定

主 文

本件抗告を棄却する。

理 由

本件特別抗告申立の理由は、末尾添付書面記載のとおりである。

所論は、原決定は、令状主義を規定した憲法三五条および法定の手続を保障した

同法三一条に違反する旨主張する。

記録によれば、本件特別抗告申立後である昭和四二年一二月二七日に、申立人所

有の小型壊中電灯他三点(領置符号一一、一二、一七、二二号)が、申立人に還付

されている事実が認められ、その余の未還付物件は、いずれも申立人が、領置の際

「被害者に返して下さい」または「私はいりません」もしくは「いりません」と申

し出ているものであつて、その申出が錯誤に基づいたものと認めるべきなんらの証

跡もなく、また、本件のような場合、その申出の撤回を許すべきではないから、右

未還付物件については、申立人は、もはや、その還付を求めることはできないもの

というべきである。そうすると、申立人が還付を求めることのできる物件はすべて

還付されている現在においては、所論違憲の主張は、その前提を欠くことになり、

特別抗告適法の理由とならない。

その余の論旨は、単なる訴訟法違反の主張であつて、特別抗告適法の理由となら

ない。

よつて、刑訴法四三四条、四二六条一項により、裁判官全員一致の意見で主文の

とおり決定する。

昭和四三年二月二九日

最高裁判所第一小法廷

裁判長裁判官 松 田 二 郎

裁判官 入 江 俊 郎

- 1 -

裁判官 長 部 謹 吾

裁判官 岩 田 誠

裁判官 大 隅 健 一 郎

- 2 -

自由と民主主義を守るため、ウクライナ軍に支援を!